「いいですか、今から重要な事を言うので良く聴いて下さいね。
  あのですね、ゲームのやり方というのは、死んで覚えるものなんですよ」
  ――幻想再帰のアリュージョニスト
  

あなたはなぜ値札にダマされるのか

あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意思決定にひそむスウェイの法則

あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意思決定にひそむスウェイの法則


本書を類書と比べた場合に一番に気づくのは文章の読みやすさ。翻訳もおそらく元の文章も優れているのだろう、すいすいと読み進められて楽しい。その点、読みにくく疑問符のつく訳が多かった「世界は感情で動く」と対照的。


以下本当にただのメモ。

  1. 損失回避とコミットメントが同時に働いた時の逃れがたい力。楽観主義が現れる。ベトナム戦争イラク戦争。これについては神経学的な解明を期待したい。
  2. 価値基準。割引された年間チケットを買った人は演劇に出かける回数が少なかった。地下鉄構内での有名バイオリニストによるストラディバリウスを使用した難曲の演奏。他に、
  3. 価値基準+評価バイアス→ドラフト指名順位が出場時間に与える影響はタフさの要素や敏捷性の要素よりも大きかった(得点力の要素よりは小さい?)。他の要素を調整しても、ドラフト指名順位が一つ下がる毎にプレー時間が23分間減少した。その影響は調査終了の5年目まで続いた。
  4. 「ドラグネット」のフライデー刑事の「事実だけを述べてくれ」というフレーズがこの本にも一緒に読んでいたアカロフ、シラー「アニマルスピリット」にも出てきた。
  5. 刑事被告人の弁護士に対する評価、ベンチャーキャピタリストが投資した会社のCEOに対する評価では同様に「話を聞いてくれるか」「どのくらいの頻度で報告があるか」を非常に重視していた。
  6. ロシアのクイズ・ミリオネアでウソの回答を教えるオーディエンス。実力が伴わない者が偶然によって富を得るのをよしとしない。農村共同体の価値観を都市に持ち込んだため?(証拠はなし)。国や民族で異なる公平性の考え方。
  7. 市場規範と社会規範に対応するだろう快楽中枢と博愛中枢。同時に働くと快楽中枢が勝っちゃう。